I

2020年、


日本にも見えない病気がやってきた。


感染拡大が急速に進むにつれ、福島に住む母親から「1人でも10人でも少ない方がいいんだから、一先ず東京から福島に帰ってきなさい!」と、言われた。


「いやいやいやいや、自分は東京にいて電車に乗って池袋に毎日通わないといけないんだよ。周りの生活ごと皆一緒に移るとか出来ない以上そんなの無理だよ。」


そう母親に言い返し直後にハッとした。





2011年、


見えない炎が辺り一面に広がったあの時。


テレビの中で福島原発が爆発する映像を見ながら、福島に住む母親に「1キロでも10キロでも遠い方がいいんだから、一先ず福島から東京に避難して来なよ!」と、言った自分に対し、


「いやいや、周りの生活ごと皆一緒に移るとか出来ない以上そんなの無理だよ。」と言い返してきた母がいた。

母親と自分、


自分と母親、


全く逆の事を言ってた。


全く逆の事を言われた。





そうか。。。


立っている場所が違うだけで、こんなにも景色は違ってみえるのか。




見えない何かにぶつかった時、


『大丈夫かもしれない』よりも、『もしかしたらもしかしたら危険が及ぶかもしれない』を大切にしていきたい。




それは今でも変わらない。


けれど、


そう思っていた自分の生活が東京にあったお陰で、ここ数年で沢山の事が見えた様な気がするのです。

『見えない病気』と『見えないあした』、


どちらも恐い。


けれど、


未だ補助金の話もないままに、見えない病気に備える為「自宅から出てはいけません!」だけが先行して、見えない病気対策の為に協力をしたくても出来ない人達が、外には沢山沢山取り残されたままだった。

いつもならば、『大丈夫かもしれない』よりも『もしかしたらもしかしたら危険が及ぶかもしれない』を大切にしていきたいけれども、自分には黙って自分だけ家に居るという事が出来なかった。


丁度コロナウイルスが拡大するタイミングで知り合った、沖縄にいる同じく音楽家である北海ヶ崎Pすけさんと、東京と沖縄の情報交換をこまめにしながら『何よりも自分の為に自分の大好きなお店がなくなってしまって困らない為に何が出来るか』、僕らの『あした』について何度も何度も何度も何度も話し合いをしました。

その話し合いがあって、自分が渡せる手元にある僅かなお金をそのまま渡すより、なくなると自分が困ってしまうお店に対し、そのお店を自分と同じ様になくなると困ると愛している人達の力を借りて一緒にお店に自粛出来るようにお金を増やして渡そうという作品『東京2020』(2020円お気持ち抜き)を1000枚作り配る事にしたのです。




「こんな時期に出歩くのか!死ね!」


もう沢山のメールを頂きました。




決して見えない病気を甘くみている訳ではなく、


『見えない病気』と『見えないあした』、2つの恐いに対して、みんなみんな立っている場所が違うのだから、恐れるものも違う筈。ならば、自分は自分でやれることを全てやってやってやっていくしかないなと決めたのです。そう決めた日から『うつりたくない』『うつしたくない』『大人はよくて子供は駄目ばかりやらせていられない』から、おてんばおばけさんのマスクが村男の音楽には欠かす事の出来ない必要な楽器の1つとなりました。

するとそれに対して


「マスクなんてしてんじゃねぇ!死ね!」


もう沢山のメールを頂きました。


他にも、


「ワクチン打つも打たないも自分で決めろとか言ってんじゃねぇ!死ね!」


「13年以上何がどう固まっているか調べる事が出来ていないデブリを直接冷やした水だけれども、流す前からどういうわけか基準値180倍のクロソイが原発前の海で見つかってはいるけれども、網を張ったし、自分達で決めた検査項目で基準値を超えていないから、科学的に30年以上流して全く問題ないとだけ言えるのに、福島の漁業に、日本の漁業に迷惑がかかったり、未来を担う日本の子供達に本当に迷惑かけないだろうか心配だとか言うな非国民!死ね!」


等、もう沢山のメールを頂く事もあります。



『答えは決して1つではない』


という村男の音楽が邪魔なのでしょう。この時期も『自分だけが正しくて自分以外は不正解』だとする人があまりにも多かった。


多かったと言うよりも、本当は自分も含めみんなみんなそうなのかもしれないよなと思いました。


目玉の位置が悪いから、


自分自身が見えないから、


そうなってしまうのかもしれないよな。


「STAYHOME !」


と、責任持って家に居るようにと諭した大人達が、いつの間にか自分の行動は必要不可欠だと大人の事情で特別優遇して、子供達の自由を奪う不正解なそんな世界。


「行け!」「止まれ!」「行け!」「止まれ!」


子供達にマスクをさせて歌を歌わせ、運動をさせ、プールに迄入れたぼんくら大人たち。


この狂った世界をもう二度と繰り返さない様にこの作品をなにがなんでも遺さないといけないと思った。


それが、


この作品『I』なのです。


受け取ってくれてありがとう。

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コメント: 1
  • #1

    まふぃん (月曜日, 26 8月 2024 19:58)

    本当更新されないな〜